神の名前について

詩81:9「あなたのうちに、ほかの神があってはならない。あなたは、外国の神を拝んではならない」
出エジプト十戒のオリジナルでは「ほかの神」は「ほかの神々」となっています(出20:3)。これはこの詩の原文では「'el(エール)」という単数の「神」が使われているのに対し、出エジプトでは「'elohiym(エロヒーム)」というエールの複数形が書かれているためです。ところが10節の「わたしが、あなたの神、主である」の「神」は「'elohiym(エロヒーム)」が使われています。10節の最初は「Yehovah(エホーバ)」「'elohiym(エロヒーム)」が並んで書かれており、「わたしは主であり、あなた方の神々である」…という意味になります。新改訳では太文字の「主」はすべて「Yehovah(エホーバ)」のことです。しかし、本来ヘブル語の原語では「YHWH」あるいは「YHVH」という子音の組み合わせしか書かれておらず、本当の発音はわかっていません。ギリシャ語ではこの4文字を、「神聖な4文字」という意味の「テトラグラマトン」という呼び名で呼ばれていました。聖書を読むときに不便を感じた後世の人たちが、もともと「主」という意味のヘブル語「adonai(アドナイ)」の母音を「YHWH」に組み込むことで、読めるようにしたのが「Yehovah(エホーバ)」です。日本語では「ヤハーウェ」とも発音され、「エホバ」「ジェホバ」「ヤハーウェ」「ヤーウェ」はそれぞれ同じ言葉を発音したものです。聖書には「主の御名を、みだりに唱えてはならない(出20:7)」とも書かれ、テトラグラマトンはある意味主の知恵だったのです。