ひとり残らず殺させた

マタ2:16「その後、ヘロデは、博士たちにだまされたことがわかると、非常におこって、人をやって、ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男の子をひとり残らず殺させた。その年齢は博士たちから突き止めておいた時間から割り出したのである」
ユダヤの王は、ユダ族でダビデの子孫が継承していましたが、バビロン捕囚で途切れています。しかし、マタイの福音書の最初にはその系図が途切れずに続いておりイエス様の誕生までつながっていることを証明しています(1:1-14)。ユダヤの王がお生まれになったと聞いたとき、その血統がヘロデの頭に浮かんだのだと思います。ヘロデ自身はエドム人で、正当な王の資格なしに、ローマに取り入りローマの許可の下でユダヤの王と名乗って いるだけでした。しかもヘロデはユダヤ直系のハスモン家と結婚していましたが、自分が王になった途端にハスモン王を殺し、その血を継ぐ妻、継母、息子2名までも殺しています。エドム人のヘロデはそれほど、ユダヤ人の血統を嫌っていたたのに、いきなり「ユダヤの王はどこですか?」と聞かれたので「恐れ惑った(3)」とあります。自分の息子さえ殺したヘロデ王が、2歳以下の子どもを殺すことなどわけもなかったことでしょう。ヘロデ王の中には権力に執着する心しか感じられません。彼はエドム人という引け目を隠すために、豪華な神殿を作り人気を得ようとしたのです(ヨハ2:20)。