イザヤ27章 次のことによって

イザ27:9「それゆえ、次のことによってヤコブの不義は赦される。祭壇のすべての石を粉々にされた石灰のようにし、アシェラ像と香の台をもう立てなくすること、これが、自分の罪を除いて得られる報酬のすべてだ」
「報酬」のヘブル語は「pery(ペリー)」で「果実」を意味します。ここではアシェラ像と香の台を壊すことが赦される条件の対象となっています。しかし、イスラエルの民はバアル、アシュタロテ(士2:13)やダゴン(士16:23)にも仕え、アシェラだけが拝む対象ではなかったはずです。最初にアシェラ像を切り倒すことが命じられたのは出エジプトをしてからです(出34:13)。その後何度となくアシェラ像を破壊することが命じられますが(申7:5,12:3,16:21など)、イスラエルの民はあきらめず、アシェラ像は復活します(1王14:15,15:13,15:33など)。いわゆる「高き所(1王3:3など)」はアシェラを祀る高台の祭壇のことでカナン地方ではよく知られた礼拝方法でした。歴代王でヒゼキヤだけが高き所を取り壊した王ですが(2王18:4)、息子マナセ王は作り直しています(2王21:3)。この行為だけは主の怒りがおさまらず、マナセのゆえにユダの滅亡は決定的になってしまいます(エレ15:4)。イザヤの預言ではイスラエルの民が高き所を取り除く行為そのものが「自分の罪を除いて得られる」報酬、すなわち「実」であり、このことでヤコブの不義は赦されるのです。