詩篇82篇 神は神々の真ん中で

詩82:1「神は神の会衆の中に立つ。神は神々の真ん中で、さばきを下す」
この「神々」は、6節にある「おまえたちは神々だ」の「神々」のことです。「神々」のヘブル語は「elohiym(エロヒーム)」で、特定の神を指しているのではなく、いわゆる一般的な名刺「神」を意味します。この神々は「人のように死に、君主たちのひとりのように倒れよう(7)」と書かれています。つまり、死すべき存在で、倒れることもある「神々」なのです。英語NASB訳では「rulers」が使われており、「統治者」「支配者」の意味があります。しかしながら、聖書の中で人を「神々」と呼んでいることは間違いなく、それゆえにイエス様がこの詩篇を引用したのは有名です(ヨハ10:34)。元来、罪を犯す前の人は神に似せて造られ(創1:26)、地上を支配するようにされていました。神に従う知恵を使い、神とともに永遠に生きながらえる予定でした。しかし、アサフの見た地上の支配者たち「神々」は、不正なさばきを行い(2)、弱い者、貧しい者を助けず、悪者どもを助けているのです(2-4)。彼らは神のような権威を持ってさばこうとしますが、聖書に書かれている神のように正しくさばけるはずがありません。アサフは「立ち上がって、地をさばいてください(8)」は、「神々」に向かって言っているのではなく、聖書に書かれているアブラハム、イサク、ヤコブの神に願っているのです。