2サムエル18章 アブシャロムの心臓を突き通した

2サム18:14「ヨアブは、「こうしておまえとぐずぐずしてはおられない」と言って、手に三本の槍を取り、まだ樫の木の真ん中に引っ掛かったまま生きていたアブシャロムの心臓を突き通した」
ヨアブはダビデの「私に免じて、若者アブシャロムをゆるやかに扱ってくれ(5)」という言葉に反して、木に引っかかっていて身動きが取れなくなったアブシャロムを突き刺します。一度はアムノンを殺したアブシャロムを赦したダビデも(14:21)、今度ばかりは、と誰もが考えたはずです。しかし、軍の大将にはアブシャロムを殺さず、捕らえるように命じています(12)。最初のアブシャロムの恩赦もヨアブが段取りし、テコアの賢い女の口を通して王から勝ち得たものです(14:2-19)。それはヨアブがアムノン、アブシャロムと死んでゆくなら、やがてダビデの息子たちが血の復讐で殺し合いを繰り返してしまうことを懸念していたからです(14:11)。ヨアブのおかげで父の赦しを受けたにも関わらず、アブシャロムは自分のことしか考えず、ヨアブの畑に火をつけています(14:30)。ヨアブは感謝こそされても、畑に火をつけられる所以はないはずです。アブシャロムに便宜を計っても、恩を仇で返された形になったヨアブの心中は穏やかではありません。ヨアブはダビデ王が平和に国を治め、世継ぎが争わずに王の位を継承できることを望んでいました。アブシャロムはヨアブの考えた理想のダビデ王のイスラエルを実現するには、あまりにもでしゃばり過ぎたのです。