1列王記11章 私を帰らせてください

1王11:22「パロは彼に言った。「あなたは、私に何か不満があるのか。自分の国へ帰ることを求めるとは。」すると、答えた。「違います。ただ、とにかく、私を帰らせてください」」
ソロモンの最初の妻は、エジプトのパロの娘でした(3:1)。それは、ソロモンが最も警戒する国がエジプトだと理解しており、講和を結ぶなら政略結婚をも覚悟していたことを示しています。ハダデに目をかけたパロは、ソロモンの時代のパロとは違うパロです。ソロモンもハダデもエジプトのパロの娘を妻にしています。ハダデには苦い過去がありました。それはハダデがまだ少年のころ(17)、同胞のエドム人たちが滅ぼされたことです。ここではダビデの将軍ヨアブが6か月エドムにとどまり、エドム人を絶ち滅ぼしたことになっています。サムエル記では、エドムについてはダビデが塩の谷でエドム人1万8千人を打ち殺した記述が残っています(2サム8:13)。おそらくこの記事のころに幼いハダデがいて、難を逃れてエジプトに身を寄せていたのだと思われます。ハダデの話は、彼が国に帰りたいとパロに願ったことで終わっています(22)。しかし、次のソロモンの敵レゾンは、ハダデの悪を行なったとあります(24)。ソロモンが王に就いた頃には、周辺とは平和がありました(4:24)。ソロモンが他の神を拝み始めたころ、ハダデやレゾンが現れ、エドムやアラムから次第にイスラエルとは敵対する関係になっていくのです。