エステル2章 モルデカイはおじの娘ハダサ

エステル2:7「モルデカイはおじの娘ハダサ、すなわち、エステルを養育していた。彼女には父も母もいなかったからである。このおとめは、姿も顔だちも美しかった。彼女の父と母が死んだとき、モルデカイは彼女を引き取って自分の娘としたのである」
モルデカイという名前はエズラにも(エズ2:2)、ネヘミヤにも出てくるので(ネヘ7:7)3人は面識があったと考えられます。ネヘミヤがアルタシャスタ王の献酌官であったので(ネヘ2:1)、エステルはその前のアハシュエロス王の時代の話です。エステル記の最後はモルデカイが、アハシュエロス王に次ぐ宰相になったことが書かれていますが(10:3)、アハシュエロス自身の在位は20年とされ、エステルが王妃になったのが7年目なので(16)、それ以降ということになります。モルデカイはベニヤミン族の出身で(5)、当然、エステルもベニヤミン族ということになります。ペルシャの古い文献にはモルデカイという名は登場せず、彼が宰相だった期間が短かったのか、あるいは記録に残すほどの人物でなかったと判断されたのかもしれません。ただし、エステルに関してはアルタシャスタ王の妃だった可能性もあり(ネヘ2:6)、ユダヤ人がこの時代にペルシャ王の近辺で高く用いられた様子がうかがい知れます。それはペルシャが他の神でもかまわず信仰する姿勢があり、神殿再建も王と王子の長寿を神に祈って欲しかったからです(エズ6:10)。彼らの寛容さは、人種、性別を差別しないもので、そのためにユダヤ人は徴用されました。