エステル4章 私のために断食をしてください

エステル4:16「行って、シュシャンにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食をしてください。三日三晩、食べたり飲んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食をしましょう。たとい法令にそむいても私は王のところへまいります。私は、死ななければならないのでしたら、死にます」
エステル記の中でエステルもモルデカイも「主よ」とか「神よ」という問いかけはしていません。エステルが王の前に出る決心をした今、ようやく「断食」という単語が出てきて、ユダヤ人の神に頼る様子が見られます。それでも最後まで「祈る」とか「みことば」などの、イスラエルの神を感じさせる言葉は出て来ません。唯一、モルデカイがハマンに対して、ひざもかがめず、ひれ伏そうともしなかったことが(3:2)、彼がイスラエルの神以外を拝むことをしないというユダヤ人の誇りを見せた逸話になっています。また、モルデカイがエステルに「あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない(14)」と言ったのも、暗に主の御心がエステルに働いていることを示している言葉だと思います。このような出来事の背後でも、エルサレムでは神殿の修復が行われており、エズラ、ネヘミヤの名はエステルも知っていたと推測できます。もし、ペルシャにいるユダヤ人たちが滅ぼされてしまうことになれば、エルサレムにいる帰還したユダヤ人たちの命も危うくなってしまいます。エステルの捨て身の覚悟がなければ、神殿再建もうまくいかなかったでしょう。彼女の判断は正しく、いまこそ生死の分かれ目の大事な決断のときに断食を決意したエステルに神は応えます。