創世記34章 ディナを連れ出して行った

創34:26「こうして彼らは、ハモルとその子シェケムとを剣の刃で殺し、シェケムの家からディナを連れ出して行った」

この文面からすると、ディナはずっとシェケムに捉えられた状態だったように見えます。最初にディナがその土地の娘たちと友だちになろうとして出かけてたのがきっかけでした(1)。「娘たち」のヘブル語「bat(バース)」は、両親に対して「娘」として使われ、イメージとしては小学生ぐらいの女子だと思われます。何よりも、ヤコブがラバンのところにいたのは20年で(31:41)、シメオンとレビは青年に成長していましたが、ディナについては幼かったと推測できます。彼らとしては、シェケムがディナを嫁にもらいたいという申し出は、幼い子どもを汚しておもちゃにされたという印象しかなかったはずです。しかも、ディナはこの交渉の間、一度も家には帰らずほぼ監禁された状態だったのです。ハモルとシェケムは、花嫁料と贈り物を差し出すと一定の誠意を見せていますが、おそらくその条件を受けるにはあまりにも幼かったのだと思います。シメオンとレビはレアの子で、ディナもまたレアが産んだ娘です(30:21)。同じ母を持つ兄弟だからこそ、その恨みは人一倍大きかったのです。この一件で、シメオンとレビはヤコブから叱責されています(30)。後に、ヤコブの預言の中で二人は「彼らの剣は暴虐の道具(49:5)」と例えられ、その乱暴さを懸念されています。