創世記37章 われわれが彼に手をかけてはならない

創37:27「「さあ、ヨセフをイシュマエル人に売ろう。われわれが彼に手をかけてはならない。彼はわれわれの肉親の弟だから」兄弟たちは彼の言うことを聞き入れた」

ルベンもユダもヨセフに手をかけないように説得しています。確かに「11の星が私を伏し拝んでいます(9)」と言われれば、心が穏やかではいられなくなります。当時、ヨセフが17歳だとすると(2)、単純計算でもルベンは28歳以上の大人になっており、羊の番もできない弟にそんなことを言われては怒っても当然です。しかも、そこにはシメオンとレビもいたので、彼らは妹ディナの一件で血の気の多い所業をしており(34:25)、この二人に対してもヨセフを殺さないように説得しなければなりませんでした。兄弟を殺すことは、カインとアベルの話を思い出させ(4:8)、それが罪深いことは兄弟たちも理解していたと思います。その場でヨセフを叱ったり、むち打ったりして、ヨセフの態度を改めさせることもできたでしょう。しかし、ヨセフは婚礼のとき着るような長服を与えられるほどヤコブに愛されていたのは誰の目からも明らかです(3)。彼らの思いには、ヨセフを遠ざけて二度と会うことがないようにというものでした。ユダの提案は兄弟たちの心にかないました。命までは、というユダの強い思いがあったからです。ユダはこのあと兄弟たちから離れ、信仰を失ったような生活をしています(38:1)。