ダマスコのアレタ王

2コリ11:32「ダマスコではアレタ王の代官が、私を捕えようとしてダマスコの町を監視しました」
アレタ王はナバテヤ人で、砂漠出身の民族でした。ヘロデ大王の息子の一人、ヘロデ・アンテパスがこのアレタ王の娘と結婚しましたが、後に離婚しています。そのアンテパスが、兄嫁ヘロデヤを自分の妻としていたのをバプテスマのヨハネ咎められたことで、ヘロデヤは怒り、娘サロメ(聖書には名前が出てこない)の踊りの褒美としてバプテスマのヨハネの首をはねた…という話につながっていきます(マタ14章)。使徒を読むと、ダマスコは最初にパウロがクリスチャンを迫害したところであり(使9:2)、ユダヤ人が勢力を誇っていた場所でもありました。そこでキリスト教が広まることをアレタ王は快く思っていなかったのです。しかも相手はパウロです。あれほどクリスチャンを迫害した男が、今度は布教する側に回っている…アレタ王の監視の目が厳しくなったこともうなずけます。娘とアンテパスとの結婚は政略的だったかもしれませんが、ユダヤ教でさえ面倒なのに、その上キリスト教などもってのほか、と考えたのかも知れません。壁つたいに逃げたパウロの迫真の証言です。