パウロの代筆者

ロマ16:22「この手紙を筆記した私、テルテオも、主にあってあなたがたにごあいさつ申し上げます」
パウロが代筆者を使っていることが分かるのはローマの手紙だけです。しかも、突然名前が登場し、びっくりさせられます。パウロの手紙の中に自らが書いたことを表している文章がいくつかあります。「パウロが自分の手であいさつを書きます」という文章がコリントとテサロニケの手紙の中にあります(2コリ16:21、2テサ3:17)。また、ガラテヤの手紙では「私は今こんなに大きな字で、自分のこの手であなたがたに書いています(ガラ6:11)」とも書かれており、このころには目がだいぶ悪くなっていることが推測できます。しかしコリントへの手紙とローマへの手紙はほとんど同時期に書かれたとされており、片や自ら書いたと宣言しているのに対し、代筆者を使い口述での筆記をしているのです。おそらく、自分の手で書いたというパウロの記述は、目が悪くなったにも関わらず、代筆者を使わないで書きましたよ…というアピールだったのではないでしょうか?それだけ、その教会には思い入れがあり、伝えなければならない内容があったのだと思います。テルテオがどういう人物だかわかりませんが、多くの動労者の名前を挙げたら、たまらず自分の名前を出すほどパウロと同行していたことが分かります。