すべては空

伝道1:2「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空」
「空」は虚無でむなしい様を表わした言葉です。原語では「hebel(ヘベル)」となり、空虚やむなしさを意味するのと同時に、水蒸気とか息を表わす言葉です。楽しみやうれしさは人の心を高揚させ、幸福な気持ちにさせることができます。しかし、楽しみが永遠に続くわけでもありません。楽しみの裏側には悲しみが待っており、楽しみを知っているがゆえに人は傷つくのです。人が裏切るのは、自分が傷つきたくないという思いの裏返しです。どんなに嫌な思いをしたくないと思っていても、一生笑って暮らせる人などひとりもいないはずです。逆に、富を追い求め労を重ねても、富は人の心の糧にはなり得ません(3)。では何が人の心を満足させ、喜びに導いてくれるのでしょうか?伝道者の書はソロモンの心の葛藤から始まっています。知恵に満ち、富に囲まれ、妻とめかけで1000人もの女性と関係をもった男が「すべてはむなしい」と叫ぶのです。金持ちが神の国に入ることは難しいことはイエス様が言われたことですが(マタ19:23)、それは何でも買えるという生活の安定が、主を求める心を奪ってしまうからです。しかし、ソロモンのように究極の金持ちなら、その満足を超えてしまい、最後に残るものは主を知るということだけだと悟るのです(12:1)。日々自分を荒野に追い込み、主を求める力を得るのも必要だと思います。