あなたの言ったことだ

マタ26:25「すると、イエスを裏切ろうとしていたユダが答えて言った。「先生。まさか私のことではないでしょう。」イエスは彼に、「いや、そうだ」と言われた」
ギリシャ語の直訳ではユダが「それは私のことではありませんね」と言い、イエス様はユダに「それはあなたの言ったことだ」という訳になります。英語のニュアンスも同じような感じです。イエス様はユダに直接「あなただ」という言葉は使いませんでした。つまり、この最後の晩餐のときに具体的な「誰」を言葉にして口に出さなかったのです。それは4つの福音書すべてに共通で(マコ14章、ルカ22章、ヨハネ13章)、残りの11人には誰だかわからないようにされていました。しかし、ペテロとヨハネだけにはイエス様と同じ鉢からパンを浸し食べる者だというヒントが与えられ、ふたりは実際にイエス様がユダにパンを与えるのを目撃しました(ヨハ13:26)。ユダにはサタンが入ったことも書かれており、ユダの心のすきにサタンがうまく取り込んだことがわかります(ヨハ13:27)。もし、「ユダよ、あなたのことだ」とイエス様が答えられていたらどうなったでしょうか?周りの兄弟たちはユダを責め、ユダ自身もその場で悔い改め、イエス様に赦しを乞うたかも知れません。そうするとイエス様の十字架もなくなってしまいます。12弟子の中で裏切りのあることは詩篇にも語られ(詩41:9)、すべては神の御心だということがわかります。歴史が動くときには誰にも止められない神の御心が優先するのです。