腫物ができた

1サム5:9「それがガテに移されて後、主の手はこの町に下り、非常な大恐慌を引き起こし、この町の人々を、上の者も下の者もみな打ったので、彼らに腫物ができた」
聖書には腫物がどういうものかは具体的には書かれていませんが、ペリシテ人がすぐに「ねずみ」を連想したことから、この時代にあったペストの類ではないかと思われます。14世紀にヨーロッパで起きたペスト大流行は全世界で1億人が死んだとされています。非常に感染力が強く、皮膚が黒くなることから黒死病とも呼ばれました。ペリシテ人が遭遇した腫物も、皮膚が隆起し、色が変化するものだったのでしょう。契約の箱にねずみなど住んでいませんが、彼らはすぐに病気を媒介しているねずみを型取って捧げよ うと決定します。ペストならば高熱にうなされ、相当に苦しいはずです。聖書では「死ななかった者も腫物で打たれ、町の叫び声は天にまで上った(12)」とあります。彼らの必死さは金のねずみと、金の腫物の模型を作ったことが物語っています。少なくともペリシテ人にはそうすることが最善だと思っていたわけです。まことの神の隣在する契約の箱は、一見ペリシテ人に幸福をもたらすような錯覚もあったようですが、彼らには手に余る、あまりにも迷惑な存在だったのです。