医者からひどいめに

マコ5:26「この女は多くの医者からひどいめに会わされて、自分の持ち物をみな使い果たしてしまったが、何のかいもなく、かえって悪くなる一方であった」
共観福音書全部に長血の女の話がありますが、「医者」という言葉を使っているのはマルコだけです(マタ9:20-22,ルカ8:43-48)。医者はギリシャ語で「iatros(イアトロス)」で、パウロはルカのことをこの「iatros(イアトロス)」と呼んでいます(コロ4:14)。またイエス様が「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です(マタ9:12、マコ2:17)」と言われたときの医者も同じ単語です。この女は「血の漏出」と見なされ、汚れてから7日間は他の人から離れて暮らさなければなりません(レビ15:25-28)。また祭司もその漏出のために贖い をする必要がありました(レビ15:15)。しかし、12年ずっと血が止まらないとなると、もう一般の生活は無理です。ルカは自分も医者なためか「医者」ということばは使いませんでしたが、この女は医者に全財産を使ってしまいました。当時の医者は英語の「physician」で内科医の役目、すなわち薬の処方をおもにしていました。どんな薬も血を止めることができず、彼女の最後の望みはイエス様だけでした。汚れた女がイエス様に触れることは、イエス様を汚すことになります(レビ15:19)。ここでも律法との葛藤がありましたが、イエス様は着物に触れた彼女の信仰をほめました(34)。律法によらず、信仰を優先させたのです。