マタ4:6「言った。「あなたが神の子なら、下に身を投げてみなさい。『神は御使いたちに命じて、その手にあなたをささえさせ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにされる』と書いてありますから」」
イエス様は自らを「人の子」と呼び(9:6など)、「神の子」だとは名乗りませんでした。ギリシャ語では人の子なら「huios anthropos(フイオス アンティポス）」となり、神の子ならば「huiois theos(フイオス ゼオス）」となります。サタンはもちろんイエス様のことは知っていましたから、迷わずに「あなたは神の子」だと言うことができました（マコ5:7など）。しかし、ほとんどの人はイエス様がキリストだろうと思っていても、神の御子かどうかはわかりませんでした。まさか、神がご自身の子を地上に送ることなど想像もできませんから、そういう意味ではペテロが「あなたは、生ける神の御子キリストです(16:16)」と告白したことは驚きです。もちろんサタンの問いかけにも直接答えてはいません(7)。しかし、いよいよ十字架にかかるその時には、身分を隠すことも必要ないと判断したのでしょう。祭司たちの「あなたは神の子ですか」という問いに「あなたがたの言うとおり、わたしはそれです(ル カ22:70)」と答えています。それが真実であっても、祭司たちはイエス様を狂人に仕立て上げ、罪状を「ユダヤの王」としてはりつけにしたのです(27:37)。
