ナホム2章 雄獅子が出歩くとき

ナホム2:11「雄獅子の住みかはどこにあるのか。それは若い獅子のためのほら穴。雄獅子が出歩くとき、雌獅子と子獅子はそこにいるが、だれも脅かす者はない 」
アッシリアでは獅子が最も強い動物とされ、獅子と戦うことが勇者の証しでもありました。アッシリアの最期の王アッシュール・ウバリトは自分の力を誇示するため、アッシリアと自分の記録を自分の建てた図書館に残しています。大英博物館にはライオンをモチーフにした彫像が多くあり、神殿ではライオンに翼のある想像の神が祭られていました。獅子はアッシリアの象徴であり、ナホムが預言で獅子を用いたのは当時の人にとってわかりやすかったからだと思われます。ヨナがニネベに滅びを預言したとき、ニネベは悔い改め、一度は主の怒りから逃れています(ヨナ3:4-10)。しかし、ニネベは元どおりに自分の神を信じるようになり、誇っていた獅子の像も、バビロン、メディアの連合軍には歯が立たず滅亡します(BC612年)。「銀を奪え。金も奪え。その財宝は限りない (9)」とあるように、アッシリアの最盛には多くの富があったようです。アッシリアの統治は軍事主体で、貿易や農業などには力をいれず、もっぱら略奪して国土を広げる政策でした。そのため国内でも紛争が頻繁にあり、それを抑えるための軍費がアッシリアを弱体化させた一つの要因だとも言われています。ヨナがアッシリアを嫌ったのも、そのような暴力的で残忍な支配を知っていたからです(ヨナ4:2)。