創世記16章 あなたはエル・ロイ

創16:13「そこで、彼女は自分に語りかけられた主の名を「あなたはエル・ロイ」と呼んだ。それは、「ご覧になる方のうしろを私が見て、なおもここにいるとは」と彼女が言ったからである」
モーセも神のうしろ姿を目撃しています(出33:23)。ここでの「うしろ」はヘブル語「achar(アヘール)」が使われ、モーセの時の「achowr(アホール)」とは違っています。ハガルの用いた「achar」は「あと」とか「続く」という意味があります。うしろ姿を見たというより「通られたあと」を見たという感じです。ハガルが神から声を掛けられるのは、この時だけではありません。やがてサラがイサクを産むとハガルとイシュマエルは追い出されてしまいます(21:14)。2人が荒野でさまよっているときに、再び神はハガルに話しかけ、イシュマエルを大いなる国民とすると約束されました(21:18)。パウロはイシュマエルとイサクを肉によって生まれた子と約束によって生まれた子の比喩だと説明しています(ガラ4:22)。パウロの説明によるならイシュマエルは奴隷から生まれた肉の子となります。それでも母のハガルは神のうしろを見ることができ、主の名を「エル・ロイ」と呼んでいます。イシュマエルは約束の子とはなれませんでしたが、アラブ系のイシュマエルの子孫は確かに多く増え広がり、世界の4分の1の人口を占めるほどになったのです。