ヨブ20章 彼は川を見ることがない

ヨブ20:17「彼は川を見ることがない。すなわち、蜜と凝乳の流れる川を見ることがない 」
「彼」とは「悪者(5)」のことです。ヘブル語の「rasha(ラシャー)」が使われ、ツォファルがヨブのことを暗に示唆している単語です。ツォファルは悪が口に甘く、人はどうしても捨てきれずに舌の裏に隠すのだと言います(12-13)。しかし、一度口にした「悪」は毒に変わり(14)、満ち足りない、果てしなく続く欲望に変わってしまうのです(16-20)。繁栄は奪われ(21)、身を守る鉄の武器さえ神の前では役に立ちません(24)。宝は隠され、焼き尽くされ(26)、作物も消え去ってしまいます(28)。ツォファルはこれらが悪者の相続財産だと言い(29)、ヨブはまさしくそのような状態にあるのではないかと訴えています。かなり辛辣なツォファルの訴えですが、ここまで来るとヨブを慰めるというより、お互いの神に対する知識を持って論争しているようにしか見えません。最初に彼らが見たときのヨブはあまりにもひどく、7日7夜絶句したほどでした(2:13)。ヨブ記を読む者は神とサタンとのやり取りを知っています(2:1-6)。そこには祝福と恵みがあるからこそ、主を礼拝し褒めたたえるのだというサタンの訴えがありました(2:4-5)。今、まさしくヨブと3人の友人たちはサタンの思惑通りの論争を繰り広げています。逆に言うなら、繁栄や衰退という目に見えるものだけが神からのものだという錯覚に陥り易いのだと言えます。