出エジプト8章 その忌みきらうもの

出8:26「モーセは答えた。「そうすることは、とてもできません。なぜなら私たちは、私たちの神、主に、エジプト人の忌みきらうものを、いけにえとしてささげるからです。もし私たちがエジプト人の目の前で、その忌みきらうものを、いけにえとしてささげるなら、彼らは私たちを石で打ち殺しはしないでしょうか」
エジプト人は羊を飼う者を忌み嫌っていたという記述が創世記にあります(創46:34)。そのため彼らの食文化もイスラエル人とは異なり、ヨセフが兄弟たちと再会し、食事をしたときに「ヨセフにはヨセフにだけ、彼らには彼らにだけ、ヨセフと食事を共にするエジプト人にはその者にだけ、それぞれ別に食事を出した (創43:32)」とあるように、食事を共にすることもできませんでした。イスラエル人の居住地ゴシェンも放牧に適しており、エジプト人と離れた場所だったために移り住むことができたのです(創47:4)。エジプト人の信じる神は「アピス」で牛の化身だと考えられています。モーセ十戒を授かりに山にいるとき、アロンが金の飾りを集めて作ったのが「子牛」でした(32:4)。エジプト人には牛は大切に扱っても、羊は忌み嫌う対象だったのです。パロの言うようにゴシェン高原ではなく、国内のパロの目の届く場所でいけにえを捧げるなら(25)、エジプト人の怒りを買ってしまいます。「三日の道のりを行きいけにえを捧げよ」は一番最初にモーセに命じられた命令です(3:18)。主が最初にモーセに語られたときから、エジプト人に見えることもなく、香りを漂わせることもない距離を考えておられました。それは出エジプトイスラエルにとって小旅行程度のものではなく、はっきりとエジプトと決別する意思の表れだったと思います。