使徒7章 それを守ったことはありません

使7:53「あなたがたは、御使いたちによって定められた律法を受けたが、それを守ったことはありません」
この言葉ではかろうじてステパノに手を下すことを抑えました。聖書には「はらわたが煮え返る思いで、ステパノに向かって歯ぎしりした(54)」とあります。それは自分たちが律法を守ろうとしても完全には守れず、贖いや和解のいけにえを捧げなければならないことを身に染みて理解していたからだと思います。ある意味、ステパノは真理を突いていたのです。しかし、次の「見なさい。天が開けて、人の子が神の右に立っておられるのが見えます(55)」は議会にいる人たちの怒りを抑えることはできませんでした。これはダビデの詩の中にある一節で「わたしがあなたの敵を あなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていよ(詩110:1)」と書かれていることを思い出させるものです。議会の人々は右の座には神の子、メシアが座ることを知っていました。ステパノは実際に見えた光景を口にしただけでしたが(55)、周りの人たちには神への冒涜にしか聞こえなかったようです。御言葉の成就の瞬間をユダヤ人は見逃してしまったのです。