使徒19章 ユダヤ人の魔よけ祈祷師

使19:13「ところが、諸国を巡回しているユダヤ人の魔よけ祈祷師の中のある者たちも、ためしに、悪霊につかれている者に向かって主イエスの御名をとなえ、「パウロの宣べ伝えているイエスによって、おまえたちに命じる」と言ってみた」
使徒たちの不思議なわざを真似したがったのは、スケワの子どもたち(14)だけではありません。ピリポがサマリヤで伝道しているとき(8:5)、魔術師シモンという男が聖霊を授ける権威を金で買おうとしています(8:9-19)。異邦の地域には、異邦の神がいるのは当たり前で、その神に仕える者や魔術を行う者がそれぞれいました。エペソでは魔術をする者が悔い改めて、魔術の本を焼き捨てますが、その本の値段の合計は銀5万枚だとあります(19)。また、大都市エペソでは女神アルテミスが信仰されており、このアルテミスが否定されると困る人は大勢いました(23-27)。アルテミスは狩猟と貞潔の神ですが、女性ということで多産、豊作の神とも考えられていました。旧約では女神と言えばアシュタロテが有名ですが(士2:13)、どの時代にも多産、豊作を願う人の思いは同じだとわかります。イスラム教の国でキリスト教を伝道するのは、パウロたちと同じ環境にあると言えます。信仰ではなく、宗教のもとには多くの利害関係があるものなのです。