詩篇56篇 私に戦いをいどんでいる者が

詩56:2「私の敵は、一日中、私を踏みつけています。誇らしげに私に戦いをいどんでいる者が、多くいます」
「ガテでダビデを捕らえたときに」と表題にありますが、実際にはダビデは気がふれた芝居をしてその場を乗り切っています(1サム21:10-15)。ここでは「私は神に信頼し、何も恐れません(4)」とありますが、サムエルの記述では「ガテの王アキシュを非常に恐れた(1サム21:12)」とあります。また、詩篇34篇も「アビメレクの前で気が違ったかのようにふるまい」と表題にあります。アビメレクはアキシュの別名かあるいは、呼び名だと思われます。多少の表現の違いはありますが、その場にいたときに、確かにダビデは人の目を気にして、噂を恐れました(1サム21:11-12)。もう何をも恐れません(4)…という決意を主に向かって歌い、主への賛美を新たに始めるには、かなり勇気が必要だったと思われます。それほどアキシュの前での振る舞いは、主に油注がれた者としてあるまじき行為のように思えます。それでも主はダビデを見離さなかったのは、アキシュをだましたことを一言も誇らずに、主が救ってくださると告白したからではないでしょうか。