詩篇58篇 呪文を唱える者の声も、聞こうとしない

詩58:5「これは、蛇使いの声も、巧みに呪文を唱える者の声も、聞こうとしない」
「滅ぼすな」という歌はダビデが57,58,59篇と続けて歌ったものです。58篇には表題にサウルの名前は登場しませんが、詩篇の編さん者はおそらく、57と59篇と同じ境遇のときのものだと考えたのだと思います。ダビデは「油そそがれた」者への恐れを常に口にしており(1サム24:6)、サウルに手を下すことは主に逆らうことと同じだと考えていました。「滅ぼすな」という歌は、まさしく自分がさばかないというダビデの姿勢を貫く題名だと思います。ダビデより「力ある者(1)」とは、神かサウルしかいません。名前は出しませんでしたが、暗にサウルを指し、サウルは猛毒を持つコブラのように(4)、ダ ビデを狙い、彼は嫉妬のあまり周りの声が聞けないほどになっていました。当時すでにいた蛇使いが、蛇を制御できないように、サウルもまた我を失いダビデを冷静な目で見ることができなくなっていました。「まことに、さばく神が、地におられる(11)」は、ダビデが掲げた信念であり、この言葉ゅえにダビデは自らさばくことをしなかったのです。