イザヤ42章 彼は叫ばず、声をあげず

イザ42:2「彼は叫ばず、声をあげず、ちまたにその声を聞かせない」
マタイではイエス様が多くの人を癒したあとで、彼らに誰にも言わないように口止めしたことが書かれています(マタ12:15-16)。イエス様が自分がキリストだと認めたのはペテロの告白のときと(マタ16:16)、処刑前に大祭司に「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか(マコ14:61)」と聞かれたときのみです。マタイはイエス様が公で自らをキリストだと名乗らなかったのはイザヤの預言が成就したからだと言い、その根拠がイザヤ42章になります。福音書には何度もイエス様が口止めする様子が書かれています(マタ9:30、マタ16:20など)。しかし、デカポリス地方の人たちは「口止めされればされるほど、かえって言いふらした(マコ7:36)」とあります。イエス様が人を癒されたのはあわれまれたからであり(マコ1:41など)、自分を誇示するためではありません。黙して語らずはイエス様の地上で貫き通した態度で、ただ弟子たちにはその奥義を語っていました(マタ4:11)。イエス様の伝えた神の奥義はパウロなどによって広められ、イザヤの「ついには、地に公義を打ち立てる(4)」の成就でもあります。