イザヤ56章 宦官たちには

イザ56:4「まことに主はこう仰せられる。「わたしの安息日を守り、わたしの喜ぶ事を選び、わたしの契約を堅く保つ宦官たちには」」
宦官はイスラエルに王制が確立した時には役職として存在していました(1サム8:15)。2つに分裂後もイスラエルにも(1王22:9)、ユダにも宦官はいました(2王24:12)。世界各地に「宦官」という役職はありましたが、ほとんどが去勢によって男性機能が奪われた人を指します。ペルシャでも宦官がいた記録があり(エス2:21)、また新約ではピリポが伝道したエチオピアの宦官が有名です(使8:27)。宦官は結婚も子孫を残すこともできないゆえに、出世欲が強く、また宮中の女性に手出しできないので信頼も厚く、多くの場合高官として活躍していました。本来ならば律法によって主の集会に参加することを禁じられていますが(申23:1)、イザヤの預言では肉体的なものより、安息日を守り、主を喜ぶことを選ぶなら永遠の名を与えると約束されています(5)。新約では割礼の有無より「心の割礼」を優先させるようにパウロが説いています(ロマ2:29)。イザヤもパウロも目に見える範囲から、心や態度のありかたに視点を置いているようです。宦官が他人と比較し、「私は枯れ木だ(3)」と嘆くのではなく、神に目を留めることが大事だとイザヤは預言しています。