1サムエル記29章 主は生きておられる

1サム29:6「そこでアキシュはダビデを呼んで言った。「主は生きておられる。あなたは正しい人だ。私は、あなたに陣営で、私と行動を共にしてもらいたかった。あなたが私のところに来てから今日まで、私はあなたに何の悪いところも見つけなかったのだから。しかし、あの領主たちは、あなたを良いと思っていない」」
アキシュの言った「主」はヘブル語の「YHWH」すなわちエホバなるイスラエルの神の名前です。その神の名前でダビデが正しいと言い、何の悪いところも見つからないと言うのです。しかし、実際はゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲い、誰も生かさず自分たちの痕跡を消していたのです(27;11)。さらにアキシュにはユダのネゲブとか、エラフメエル人のネゲブとか、ケ ニ人のネゲブを襲ったとでたらめの報告をしていました(27:10)。アキシュはダビデの持ち帰る羊や牛などを見て満足し(27:9)、疑うことはなかったのです。ダビデにとってアキシュは御しやすい相手でした。このように相手が与しやすいかどうかを見極めることができるのもリーダーにとって欠かせない才能の一つではないでしょうか。ダビデには600人の部下とその妻子が従っています。彼らを路頭に迷わせたりすることは、ダビデの本意ではありません。しかし、ペリシテの陣営から帰ってくるとアマレクに街を荒らされ、妻子は連れ去られるという事件が起きます(30章)。せっかくアキシュの目をごまかし、安全策を取っていたのに、あっという間に足元を掬われるのです。ダビデの苦労はまだ続きます。