2サムエル記20章 この女はその知恵を用いて

2サム20:22「この女はその知恵を用いてすべての民のところに行った。それで彼らはビクリの子シェバの首をはね、それをヨアブのもとに投げた。ヨアブが角笛を吹き鳴らしたので、人々は町から散って行って、めいめい自分の天幕へ帰った。ヨアブはエルサレムの王のところに戻った」
英語の訳では「with her wise advice(NIV)」とあり、何かしらのアドバイスをしたことになっています。アベル・ベテ・マアカ(15)というのは、マナセとナフタリの境の地で、アラムの勢力の及んでいるイスラエル北部の町です。そんな北の端までヨアブはシェバを追いかけ、町を包囲しもう少しで城壁を打ち破る状態でした(15)。この名もない女は「知恵あるある女」とだけ聖書には紹介されています(16)。知恵のヘブル語「chakam(ハハーム)」は、聖書では神からの知恵も指す言葉です(出28:3)。この女が一体どのようなことを町の人たちに言ったのかは書かれていませんが、町の人がかくまっていたシェバの首をはねたのは事実です。聖書にはシェバはすべてのべリ人を連れていたとあります(14)。またその他の多くのイスラエルの部族も従っていたと書かれています(2)。本来ならシェバを守ろうとする者たちと、ヨアブにシェバを差し出そうとする者たちとの間に争いが生じるはずです。これらの大勢の人たちが一人の女の説得によって、混乱することなくシェバだけを殺したのなら、この知恵ある女の言葉がいかにすぐれていたかがわかります。