エレミヤ37章 エルサレムから退却したとき

エレ37:5「パロの軍勢がエジプトから出て来たので、エルサレムを包囲中のカルデヤ人は、そのうわさを聞いて、エルサレムから退却したときであった」
この文だけを読むなら、あたかもエジプトを恐れたバビロンが退却したかのように思えます。そのため、ユダ国で支配的だった「バビロンは攻めてこない」という楽観論がまた浮上するのです(19)。エレミヤはバビロン(カルデヤ人)がエルサレムの包囲を解いたのを見ても、バビロンは戻ってきてユダを攻める…と預言します(9-10)。事実、バビロンは退却したのではなく、包囲する軍備ではエジプトと戦えないために、軍備補強のために一旦戻っただけでした。前王エホヤキムはエジプトの傀儡(かいらい)王で(2王23:34)、ゼデキヤはバビロンによって立てられた傀儡王です(1)。両者ともバビロンに一時は従いましたが、エホヤキムは3年で(2王24:1)、ゼデキヤは5年目にバビロンに反旗を翻します(2王25:1)。2人の王の時代にもエレミヤは悔い改めて、主に立ち返る預言を繰り返し語っていましたが、聞き入れられませんでした。むしろ、ユダ国は神によって守られるというお抱え預言者に耳を傾けていました(19)。しかし、預言者がすべて逃げ出した今、すがることができるのはエレミヤだけです(3)。ゼデキヤは自分がバビロン王の手に落ちることを聞いても(17)、エレミヤを殺さず、監視庭で養い続けました(21)。