巻末の問題

マコ16:8「女たちは、墓を出て、そこから逃げ去った。すっかり震え上がって、気も転倒していたからである。そしてだれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである」
聖書は写本という形で伝承されてきました。コピーのない時代に当たり前といえば、当たり前なのですが、マルコの福音書の写本の多くは16章8節で終わっています。あまりにも唐突な終わり方で、誰もが中途半端な感じを受けるはずです。福音書の終わり方が「恐ろしかったからである」というのは、神の栄光を表す言葉にしては充分ではありません。しかし、9節以降の文章は明らかにとってつけたようで、ギリシャ語の文法はそれまでの文章とまるで違うそうです。そうならば、マルコ以外の誰かが残りの文章を付け加えたことになります。信じる者としてはちょっとショックです。なぜなら宣教の大号令が、追加の部分に書かれてあるからです。「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい(15)」…何人、いや何万人の人がこの言葉に心を揺り動かされ、世界中で宣教している人がいることでしょう。たとえ、オリジナルではないにしても、マルコの福音書を読むときに9節以降を無視するなら、イエス様が伝えようとした大切なメッセージが欠けてしまうと思います。信仰により、御言葉が真実であり、たとえ複数の筆者がいたとしても、聖書に編纂された以上、聖霊の導きによって残されたのだと信じることが大切なのです。