名誉挽回のベニヤミン族

1サム12:19「あなたのしもべどものために、あなたの神、主に祈り、私たちが死なないようにしてください。私たちのあらゆる罪の上に、王を求めるという悪を加えたからです」
ベニヤミン族の中から王が選ばれるというのには意味があったと思います。それは、士師の時代にベニヤミン族がならず者をかくまい残りの部族と争い、ほとんど全滅の危機にさらされたことがあったからです(士21章)。ヤベシュ・ギルアデはその舞台となった場所であり、サウルの出身地でした。その場所でサウルが王に任命されたことはベニヤミン族にとっては、名誉挽回の絶好のチャンスでした。しかも、イスラエルの民は王を求めることが「悪」だと気づいていました。サウルは荷物に隠れるほど、弱気で積極的ではありませんでした。しかし、主は何度もサウルに霊を注ぎ、力を与えました。その結果、サウルは力を得て、大胆になり次第にサムエルに求めなくなっていくのです。連戦連勝となれば、誰でも思い上がり、恐いものなしになるのは否めませんが、そんなときこそ主を求めるのが主の御心です。しかし、最後まで主に頼らず、自分の追い出した霊媒の女にサムエルの霊を呼び出すという罪まで犯したのです(1サム28章)。死んだサムエルまで呼び出すとは、おちおち死んでいられない…とはこのことです。結局、主から与えられたベニヤミン挽回の切り札も主の御心を知りえませんでしたが、最後までユダ族に従ったことで黙示録では名をとどめています。