バフリムの夫婦

2サム17:19「その人の妻は、おおいを持って来て、井戸の口の上に広げ、その上に麦をまき散らしたので、だれにも知られなかった」
18,19節はすべて匿名の人たちが動いています。まず、伝令者ヨナタンとアヒマアツを見つけたある若者がアブシャロムに告げ口をします。続いてバフリムに住むある男の家の井戸に2人は逃げ込みます。そして、ある男の妻が井戸にカバーをして上から麦をまいてカモフラーシュし、追っ手に「彼らは川のほうへ行った」と嘘を言うのです(20)。告げ口をした若者はアブシャロム側に好意を持ち、バフリムに住む夫婦はダビデ側を支持していました。なんでもないような場面で、名前も残されていない人たちが実は重要な役割を担っています。バフリムの男の妻の機転がなければ、伝令者2人は無事にダビデのもとに行けなかったかもしれません。それだけイスラエルの内部はダビデ側とアブシャロム側に分裂していたということです。ダビデの信頼が磐石ならば、民はアブシャロムの味方などしなかったでしょう。ある若者は、アブシャロム側から密かに出て行く2人を見て、2人はアブシャロムに不利になると思ったのです。また、バフリムの夫婦はヨナタンとアヒマアツを見て、ダビデ側の人だと知り、ダビデのために2人をかくまいました。アブシャロムの自己アピールはかなり国中に浸透していたことがわかります。