ヤコブの提案

使15:20「ただ、偶像に供えて汚れた物と不品行と絞め殺した物と血とを避けるように書き送るべきだと思います」
最終的に本部エルサレム教会からアンテオケ教会に送られた文面は、このヤコブ案がそのまま採用されました(29)。もともとは割礼するかどうかが事の発端です(1)。それに付随する従来のユダヤ律法をキリストの教会はどうすべきかは、まだ決まっていなかったのです。クリスチャンはもう何を食べても大丈夫ですが、律法には多くの制限があります。後にパウロはコリントの教会に「市場に売っている肉は、良心の問題として調べあげる事はしないで、どれでも食べなさい(1コリ10:25)」と勧めています。しかし、このエルサレム会議のときはまだユダヤ教から改宗した者が大勢いたので、すべての律法をいきなり無視することもできなかったのです。それは町ごとにある教会の前身であるシナゴーグにて、律法が安息日ごとに読まれていたからです(21)。また、クリスチャンになった者の中にも「私たちからは何も指示を受けていないのに、いろいろなことを言ってあなたがたを動揺させ、あなたがたの心を乱す(24)」ような人たちがいたとあります。結局、律法の断片をわずかに残すことで、ユダヤ人たちにも納得する折衷案を取ることで落着しました。教会の船出もいろいろな障害があり、順風満帆ではないことがよくわかります。