アグリッパとパウロ

使25:29「ただ、彼と言い争っている点は、彼ら自身の宗教に関することであり、また、死んでしまったイエスという者のことで、そのイエスが生きているとパウロは主張しているのでした」
フィストの新着任のお祝いを述べるためにアグリッパ兄妹が表敬訪問をしました。このアグリッパ王はユダヤ人を虐待したことにより、ローマの評議会から評価され王の称号を得ることができた王です。イエス様時代に王と呼ばれたヘロデはヘロデ・アンティパスでアグリッパ王の伯父になります。時代は移り、イエス様が生きていたことを知る人も少なくなってきました。十字架の出来事も、ある罪人が処刑された程度にとどまり、あれだけ癒しのわざを行ったイエスという人が死んでしまった以上、彼の唱えた御国の話など過去の出来事になっていました。それでも、パウロイエス・キリストは死からよみがえり、今も生きていると主張し、その主張をローマ皇帝まで訴えようとしていたのです。すべては福音を伝道するためです。ユダヤ人は優秀で、彼らの文化をそのまま生かしておいたほうがローマにとっては利益が望めます。しかし、ローマ帝国が属国の宗教について判断を下すわけにはいきません。そもそもユダヤの神は、ローマにとっては何の興味もないわけですから。フィストがあえて、アグリッパにパウロを引き合わせたのは、ひょっとしたらアグリッパにユダヤの神についての知識があると思ったからかも知れません。