シュネムの女

2王4:28「彼女は言った。『私があなたさまに子どもを求めたでしょうか。この私にそんな気休めを言わないでくださいと申し上げたではありませんか』」
女の名前は出てきませんが、シュネムに住んでおり裕福であったとあります(8)。女はエリシャと食事を繰り返すうちにエリシャが神の人であることを知りました。エリシャに「何をしてほしいか(13)」と聞かれても「私は私の民の中で、しあわせに暮らしております(13)」と答え、何不自由もないように答えました。しかし、余計なことをする弟子のゲハジは、彼女に子供がないことをエリシャに言うのです(14)。彼女にとっては予期しない子供でしたが、いざ死んだとなると、「私があなたに子供が欲しいと言ったか?」とエリシャに詰め寄るのも無理はないことです。与えられたゆえに、持つ喜びと同時に失う悲しみも心に抱えることになるのです。子供がなくなってもなお、「家族は元気か」という問いに「元気です(26)」と答えています。この「元気」はへブル語の「shalowm(シャローム)」で、何も心を乱すものはない平安な状態…だと答えていることになります。この女はいつも心の本質を隠し、人に心の内をさらけ出すことを嫌っていたのだと思います。しかし、今回は違っていました。子供のためなら、エリシャを離さない…と言うのです(30)。エリシャが感謝の気持ちをこめて与えたかったものは、子供ではなく、「信仰」だったのではないでしょうか。