ツロに対する預言

エゼ26:21「わたしはおまえを恐怖とする。おまえはもう存在しなくなり、人がおまえを尋ねても、永久におまえを見つけることはない。―神である主の御告げ―」
存在そのものが消されることは恐ろしいことです。命が与えられ「存在」するからこそ、喜怒哀楽を体験することができ、人生の浮き沈みを経験できるのです。前節では「地下の国(20)」という表現が出てきますが、神の存在しない地獄を意味していると思われます。ツロといえば、ダビデ時代にヒラム王が杉や石工職人を世話し、またダビデのために王宮を建てたり、非常に密接なイスラエルとの関係が書かれています(2サム5章)。そのツロがいま主によってさばかれようとしているのです。しかも、その存在でさえもなくなってしまう、大変厳しい内容です。地下の国は神の国の反対ですから、神のいない国ともとれます。神がいない世界は希望がなく、誰も自分の犯した罪に対してその咎を背負ってくれる人などいないのです。自らの罪は自らの命を持って購わなければなりません。それが主の定めたおきてです。海の覇者として君臨し、栄華を極めたツロはどうして消えなければならなかったのでしょうか(17)。それは栄華を極めた者にしかわからないプライドがあるのだと思います。頂点に立つことは気持ちのいいことです。ずっとその場にとどまりたいと思うのは自然なことです。しかしその場所は本来主のおられる場所です。どんなに恵まれても高慢にならないことです。