ナザレという小さい町

マタ2:23「そして、ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちを通して「この方はナザレ人と呼ばれる」と言われた事が成就するためであった」
マタイ2章の中に出てくる地名はベツレヘム、エジプト、ナザレです。それぞれイエス様の誕生の地(ミカ5:2)、ヘロデから逃れた地(ホセ11:1)、エジプトから帰って住んだ地(イザ11:1)、となっています。この中でベツレヘムとエジプトに関しては、はっきりと名前が旧約に記載されていますが、ナザレはありません。新改訳の下の注解ではイザヤの11章1節が参考として書かれていますが、そこには「エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ」と書かれ、ナザレは出てきません。唯一、考えられるのは「新芽」を表わすヘブライ語「natser(ネトセル)」が、ギリシャ語「nazara(ナザラ)」と発音が似ていることに由来しているという説があります。ルカによるとイエス様がベツレヘムにいたのは、皇帝アウグツスの勅令により国勢調査が行なわれたからだとあります(ルカ2:1)。そして、エジプトから帰ってきたときには調査が済んでいたため、ナザレという小さい村に移り住んだのです。ナザレはガリラヤ湖の西10キロほどの場所で、ナタナエルが「ナザレから何の良いものが出ようか(ヨハ1:46)」と言ったほど田舎で、それまでの歴史で大した人物も輩出していない忘れ去られるような村でした。人が捨てたり、忘れたりするものの中に主の御心が隠れているのです。