デボラとヤエル

士4:21「だが、ヘベルの妻ヤエルは天幕の鉄のくいを取ると、手に槌を持ってそっと彼のところへ近づき、彼のこめかみに鉄のくいを打ち込んで地に刺し通した。彼は疲れていたので、熟睡していた。こうして彼は死んだ」
デボラはバラクに対して「主はシセラをひとりの女の手に売り渡される(9)」と預言していました。その「ひとりの女」がヤエルだったのです。デボラは唯一の女士師として有名ですが、彼女自身は主のことばを取り次ぐ預言者の役割をしていました(4)。ラビドテという人の妻で、なつめやしの木の下にいつもいたと書かれています(5)。一方、もう一人の女性ヤエルは、自分の夫と友好関係にある(17)シセラを殺害しました。ヤエルがなぜシセラを殺したかはわかりませんが、鉄のくいが頭蓋骨を貫き地面にまで刺し通した、とあるのは尋常ならぬ殺害意思があったことを示しています。そして、バラクが家に来たときにすぐに「あなたの捜している人をお見せしましょう(22)」と死体になったシセラを見せているのです。カナンの王の統治に不満があったのか、ヤエル自身に恨みがあったのか…果たして、夫へベルはこの結果をどう処理したのか…等々、謎は深まりますが、ヤエルが神に選ばれ、その役割を果たしたことは事実です。こめかみにくいを打ち込むような怖い女性ですが、聖書の中でデボラの預言を成就させた人として、その名は後世の我々に残されています。