ユアンゲリッゾ

ルカ1:19「御使いは答えて言った。「私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおとずれを伝えるように遣わされているのです」」
ガブリエルが自ら名乗ったのは聖書の中でルカのこの箇所だけです。ほかにガブリエルの名前が出てくるのはダニエル書ですが、自分の役割が「伝える」ことだとはっきりと書かれているのはここだけです。他に御使いの名前はミカエルがありますが、彼が登場するときには抜き身の剣を手にしていることが多く(民22:23、ヨシュ5:13、1歴21:6など)、戦いの天使だと言われています。旧約では御使いが話す場面がありますが(創19:15、1王13:18、ゼカ1:9など)、おそらくしゃべるのはガブリエルの役割ではなかったかと思われます。とにかく、ガブリエルはマリアより前にエリザベツに現れ、「喜びのおとずれ」を伝えます。この「喜びのおとずれ」はギリシャ語で「yuangelezo(ユアンゲリッゾ)」で、ここでは動詞が使われ ています。聖書の中で使われている「福音」「yuangeleon(ユアンゲリオン)」は良い知らせを意味する名詞で、ユアンゲリッゾの派生語になります。エリザベツに対してこれから起きる喜びが進行形であることから、動詞を用いて話しているのです。一方イエス様は「福音」を出来上がった名詞として使っています(マタ11:5など)。