ヨセフの子と思われていた

ルカ3:23「教えを始められたとき、イエスはおよそ三十歳で、人々からヨセフの子と思われていた。このヨセフは、ヘリの子、順次さかのぼって」
ルカは綿密にイエス様の誕生のことを調べ上げ、聖霊によって宿されたことや、マリアとエリザベツが親戚であることを知っていました(1-2章)。そのことをテオピロに報告し、なおかつイエス様がヨセフの子だと思われていた、と書いた上で堂々と父ヨセフの系図を書いているのです。この「思われていた」はギリシャ語で「nomizo(ノミーゾ)」が使われており、「慣習ではそう使われている」とか「古くからの言い伝え」の意味を含んでいます。つまり、テオピロにイエス様の誕生の秘話を語り、実はマリアが処女であり、ヨセフと関係を持つことなく生まれたことを知らせた上で、ヨセフの子として扱われていることを説明しているわけです。聖霊によって生まれた子なら、ヨセフの家系ではないのでは ないか…とテオピロも思ったかもしれませんが、バプテスマのヨハネの出現により救世主がまもなく来られ、神による御国が実現することが伝えられるなら、「イエス」という人物を放っておくわけにはいかなかったのだと思います。そして家系の最初はアダムに行き着き、アダムは神の子だと書かれているのです(38)。