このしもべを、あの子の代わりに

創44:33「ですから、どうか今、このしもべを、あの子の代わりに、あなたさまの奴隷としてとどめ、あの子を兄弟たちと帰らせてください」
おそらくヨセフの計画では、同じ母ラケルから生まれたベニヤミンを残し彼と一緒に暮らそうとしていたのだと思います。しかし、自分をイシュマエル人に売ることを提案したユダの言葉によって、ヨセフの心は激しく打たれるのです。シメオンをエジプトに残していったことにヤコブも兄弟もあまり言及していません。しかしベニヤミンを残してエジプトを去ったとなると、ヤコブの生死にかかわります。ヨセフは自分がいなくなって父ヤコブがどれほど悲しんだかをユダの言葉によって知るのです(27-29)。さらにベニヤミンを救おうとするユダの態度にもヨセフの心は動いたと思います。ヨセフもエジプトに来て忍耐と寛容を学びましたが、同じ13年間の間で兄弟たち特にユダも成長していたことを目の当たりに したのです。もしそれがヨセフを導いたのと同じ神であるなら、ヨセフは迷う必要はありません。ヨセフはユダの言葉を聞いたとき「自分を制することができなくなった(45:1)」とあります。別れ別れになってしまっていても、同じ神がヨセフと兄弟たちに働き、ともに成長させてくださったのです。