創42:25「ヨセフは、彼らの袋に穀物を満たし、彼らの銀をめいめいの袋に返し、また道中の食糧を彼らに与えるように命じた。それで、人々はそのとおりにした」
エジプトに捧げられた銀を袋にひそかに返したのは、ヨセフの好意からではなさそうです。ヨセフはシメオンを人質にしたことでは満足せず、さらなる保険をかけているように見えます。それはかならず兄弟たちがベニヤミンを連れてエジプトに戻ってくることを願っていたからです。はからずも兄弟たちは自分の袋に届けたはずの銀が入っていたことで恐れます(35)。買い物をして品物だけ持って帰って、お金を払っていないのと同じです。ヤコブには何が起きているのかさっぱりです。ただ彼の前から一人ずつ子供がいなくなっていく現実がヤコブの心を襲うのです。しかも、ベニヤミンを連れてこいとなると、ベニヤミンの身に何が起きるかわかりません。ヤコブの頭の中では3人の子供がいなくなる最悪のシ ナリオが展開しているのだと思います。シメオンが人質に取られたままで、第一次の食料補給を食べつくしたとき、シメオンとベニヤミンの運命がヤコブの判断にゆだねられるのです。ヤコブには不可解でも聖書を読んでいる我々には神がすべてをコントロールしていることがわかります。
