かつてなく二度とない

出11:6「そしてエジプト全土にわたって、大きな叫びが起こる。このようなことはかつてなく、また二度とないであろう」
「かつてなく、また二度とない」というのは歴史上最悪のことです。初子はモーセたちヘブル人にとっては、家族の名を継ぐ大切な子供のことです。エジプトでの継承は聖書には書かれていませんが、おそらくヘブル人と同じように初子はその家族を継ぐ大切な存在だったと思います。ある程度政権が落ち着いたなら、次に考えることはどうやったら今の政治体制を維持するかという点に絞られてきます。イスラム社会では「ハーレム」、日本では「大奥」というふうに王や将軍の血を絶やさないことは大きな課題です。もちろん民主主義が多く広まった現代では、誰でも国のトップになれるチャンスがあります。それでも個々の家族を見るなら長子を優遇する考え方は古今東西同じようです。主はエジプトの最も 痛い部分を触ろうとしているのです。しかもその前に「民に好意を持つようにされ(3)」、ヘブル人が要求した金銀を差し出しています。財産まで取られ、そのうえ初子まで失うなら、エジプトは大きな痛手となってしまうでしょう。そうでもしなければエジプトはモーセたちを行かせなかったからです。