注ぎの油

出30:23「あなたは、最上の香料を取れ。液体の没薬五百シェケル、かおりの強い肉桂をその半分―二百五十シェケル―、におい菖蒲二百五十シェケル
これに桂枝とオリーブ油を加えて、注ぎの油ができあがり、幕屋にある器具に降り注がなければなりません(27-29)。これに対しシェヘレテ香、ヘルベナ香と乳香を同量に調合したもう1つの香油があります(34)。こちらは契約の箱の前に捧げるもので、前のものよりさらに聖なるものとされます(36)。注ぎの油には肉桂が250シェケルが使われていますが、肉桂はシナモンのことです。しかも「かおりの強い」と注意書きがあります。中世ヨーロッパにおいてこのシナモンはとても重宝され、胡椒とグローブとあわせて3大スパイスと言われました。ある資料によれば、シナモンは現地価格の2500倍もの値段で取引できたとありますから、まさにドル箱香料だと言えます。さらにスパイスをめぐってポルトガルとスペインが戦争まで起こしており、シナモンがよほどヨーロッパ人に好まれたことが分かります。荒野での生活をしていたイスラエルの民 はおそらく原住民たちからこれらの原料を手に入れ、幕屋を聖めていたのだと思います。