士師記6章 酒ぶねの中で小麦を打っていた

士6:11「さて主の使いが来て、アビエゼル人ヨアシュに属するオフラにある樫の木の下にすわった。このとき、ヨアシュの子ギデオンはミデヤン人からのがれて、酒ぶねの中で小麦を打っていた」
酒ぶねは、ぶどうを足で踏む大きな木の箱で、人がしゃがむと外からは見えません。ギデオンは数少ない小麦を見つからないように打っていたのです。それはミデヤン人にタネを蒔いた土地を荒らされ(3)、穀物や家畜が取れないようにしたからです(4)。彼は御使いから「勇士よ(12)」と呼ばれたときも、御使いを疑い、バアルの像を壊せと命令されても、人目を気にして夜行ったりしました(27)。酒ぶねに隠れる様子は、さながらサウルが王に任命されたとき、荷物の間に隠れていたようです(1サム10:22)。また、御使いに会って自分の命を心配するのは、ヤコブが主の顔を見たときのようです(創2:30)。さらに、羊の毛を使って主に何度も伺っている様子は、アブラハムがソドムとゴモラを滅ぼそうとする主に、10人の正しい者のために懇願することを思い出します(創18:26-32)。このように聖書に書かれている歴代の勇士たちの通ってきた道をギデオンは一人で体験しています。ギデオンの気質は一言で言うなら「臆病」だと思います。しかし、戦いにおいて周りを見ずにただ突っ込むだけなら、それは「勇敢」ではなく、「愚か」だと言えます。ギデオンの「臆病」は、主に試され、訓練されて、「慎重さ」「冷静さ」に変わっていきます。