創世記33章 私はたくさんに持っている

創33:9「エサウは、「弟よ。私はたくさんに持っている。あなたのものは、あなたのものにしておきなさい」と言った」
「弟よ」はヘブル語の「’ach(アック)」で普通に使われる兄弟の単語です。聖書ではカインとアベルが誕生した時に使われたのが最初です(4:2)。エサウヤコブと絶縁していたとは思ってなかったようです。エサウはおびただしい贈り物を見て「そうか、ありがとう」とは言いませんでした。聖書の記述ではエサウが走ってきて、ヤコブ首に口づけしたと書かれています(4)。その間ヤコブは7回も地に伏しておじぎをしていました(3)。果たしてヤコブの考えた贈り物を携えた長い隊列と、2つに分けた親族の群れとが功を奏したのかはわかりませんが、エサウの態度が友好的で懐かしむ様子は見て取れます。しかも、贈り物に対して「私はたくさん持っている」と興味を示していません。ヤコブには長子の権利を奪われ(25:33)、イサクの祝福をだまし取られたのです(27:30)。ヤコブから奪われた分を取り返してやろう、と考えてもおかしくありません。聖書にはエサウに何が起きたのかは書かれていませんが、ヤコブを見て走り寄り、口づけして泣いたことは事実です。イサクの死後、エサウヤコブは離れて暮らすようになります(36:6)。セイルに移ったエサウの子孫は、やがてエドム人と呼ばれ(36:8)、イスラエルと対抗するようになるのです。