詩篇63篇 水のない砂漠の衰え果てた地で

詩63:1「神よ。あなたは私の神。私はあなたを切に求めます。水のない、砂漠の衰え果てた地で、私のたましいは、あなたに渇き、私の身も、あなたを慕って気を失うばかりです」

ユダの割り当て地はエルサレムから南の広い土地を持っており、南の端はネゲブ砂漠まで続いています。ユダの荒野と表題にあるのは、おそらくネゲブ砂漠のことを差しているのだと思われます。ネゲブの荒野は広く、他の部族も住んでおり、ダビデがアキシュの配下になったとき「きょうはどこを襲ったのか」と聞かれたときは「ユダのネゲブとか、エラフメエル人のネゲブとか、ケニ人のネゲブ」と答えていました(1サム27:10)。それはネゲブ地方は環境が悪く、砂漠の暑さのゆえに誰も攻め入ったりしなかったのをダビデが逆手にとって、言い訳に使っていたからです。この詩はダビデがサウルに追われたとき、しかたなくネゲブに逃れたときに歌ったものかもしれません。荒野はイエス様も断食に選ばれた場所で(マタ4:1)、暑さの中で水もなく、食糧も取らなければ死んでしまいます。そのような中で、ダビデは主を求め、賛美しています(7)。本当に周りに助けがなければ、主にすがるしかないのでしょう。「私のたましいは、あなたにすがり、あなたの右の手は、私をささえてくださいます(8)」とあるように、ダビデは苦しい中で神の助けを経験しています。荒野も断食も、すべての物質や人間関係を絶って、神を求めるにはとても役立つのではないでしょうか。