詩篇62篇 口では祝福し心の中ではのろう

詩62:4「まことに、彼らは彼を高い地位から突き落とそうとたくらんでいる。彼らは偽りを好み、口では祝福し、心の中ではのろう」

日本語では「おべんちゃら」という言葉がありますが、それは相手を喜ばせるために口先ばかりでお世辞や、ほめたりすることです。「おべんちゃら」は、ときには相手を喜ばせるために使われる場合もありますが、ダビデが言うように「口では祝福し、心の中ではのろう(4)」とはちょっと意味が違ってきます。それでも人は、口から出る言葉を信じる傾向があり、よほど経験を積まなければ相手の嘘は見抜けないようです。ダビデは王の立場だったので、口先だけ良いことを言う者が多く近づいてきたと推測されます。サウルが死んだとき、アマレク人がサウルの腕輪を取ってダビデにサウルの死を報告に行った記事が書かれています(2サム1:1-10)。このアマレク人はサウルがダビデを追いかけていたのを知っており、もし自分がサウルを殺したと報告するなら、褒美でももらえるだろうと考えていたのだと思います。油そそがれた人を手に掛けるのは大罪だと思わず(2サム1:16)、ただ手柄をたてて見返りを望んだのです。そこには愛も哀れみもなく、サウルの死を知らせる言葉にも重みはありませんでした。ダビデはこの男の心を見抜き、その場でアマレク人を打ち殺しています(2サム1:15)。人の口から出るものは上部だけかも知れませんが、主は心の中を見られます(1サム16:7)。