創世記44章 今まで私は彼を見ない

創44:28「そしてひとりは私のところから出て行ったきりだ。確かに裂き殺されてしまったのだ、と私は言った。そして、それ以来、今まで私は彼を見ない」
実はヨセフの兄たちはヨセフの長服を雄やぎの血に浸してヤコブに見せただけです(37:31-32)。悪い獣にやられたのだと言ったのはヤコブです(37:33)。「それ以来、今まで私は彼を見ない」というのは、獣にやられたけれども生き延びているかも知れない、というヤコブの憶測がはたらいていると思います。これは兄たちが全員ヤコブに隠している出来事で、ルベンだけがイシュマエルの商隊にヨセフを売ったときに立ち会っていませんでした(37:28)。それでも長服に雄やぎの血を浸してヤコブに渡したときには、兄弟全員の総意として行ったはずです。そういう意味では、ヤコブがヨセフが生きているかもしれないと思っている感情と、兄弟たちがヨセフの生存を考えている気持ちとにはずれがあります。ルベンはヨセフに手をかけることをやめさせました(37:21)。ユダも殺すことには反対しましたが、銀20枚で売ることを提案しました(37:27)。今ヨセフに説明をしているのはユダです(18)。必死でベニヤミンを守ろうとする彼らは、二度と同じ間違いをしない決心が垣間見えます。特にユダにはベニヤミンを守りたいという強い思いが伝わってきます。